手数を減らして省エネで登ろう!
クロスムーブとは
左側にあるホールドをあえて右側でつかみに行ったり、右側にあるホールドを左手で取りに行くムーブのことをクロスムーブといいます。
実際にやってみると腕が交差(クロス)するのがわかりますよね。だからクロスムーブといいます。
クライマー通しの会話だと「クロスで取りに行く」など略して言ったりもします。
クロスムーブは距離が出なかったり、ホールド保持が難しくなるなどのデメリットもありますが、それ以上に手数が減るというメリットもあります。
体力の消耗を抑えて、省エネなクライミングができる地味ながらも応用範囲が広いムーブですので、ぜひ覚えておきましょう。
クロスムーブのやり方
クロスムーブのやり方は簡単です。ホールドのある側と反対側の手でそのホールドをつかみに行くだけなのですから。
シンプルなムーブですが、慎重に行わないと簡単に体が回転したり、壁から離れていってしまいます。
理由は右手右足の法則から逸脱してしてしまうからです。
Image:Improve your climbing VOSTFR - YouTube
右手右足の法則とは右手を出すときには右足を先に上げましょう、左手を出すときは左足を先に上げましょう。というものです。
詳しくはこの記事で解説していますので、右手右足の法則ってなに?って人はぜひこの記事をチェックしてみてください。
クロスムーブでのフォールの多くは体が回転してしまったり、固定側の手が保持できなくなったりして発生します。
後述しますが、クロスムーブと組み合わせると効果があるムーブも紹介していきます。
クロスムーブの使い所
クロスムーブの使いどころはトラバース(横移動)系の課題や長モノの課題、スラブ~緩傾斜の課題です。
トラバース系の課題や持ちの悪いホールドの課題だとマッチ(両手で1つのホールドを持つ)を多用しなければならないので、手数が倍々になってしまいます。
「こんなホールドマッチできるかい!!(怒)」っていう持ちにくいホールドを解決するときにも使用します。
マッチするのではなく、クロスムーブでそのホールドを飛ばしてしまうのです。
保持している腕の上側を通すか、下側を通すかはその課題によりけりですが、わたしは基本的に腕の下側を通すようにしています。
上側を通したほうが距離は出ますが、体勢を崩してしまいがちなので、まずは下側クロスムーブをやってみましょう。
クロスムーブでは一時的に苦しい体勢になることがありますが、持ち替えの手数を一つ減らしたり、悪いホールドのマッチによる消耗を防ぐことができるのです。
クロスムーブのデメリット
クロスムーブでは体が振られてしまいがちです。
特に距離が出やすい上側のクロス(保持している手の上を通過してホールドを取りに行く)の場合は体がドアのように開いて壁から離れていってしまいます。
これは先に紹介した右手右足の法則から逸脱してしまうからでなのです。
右手右足の法則は重心を先に伸ばす方の側の足に乗せておくことで体の回転を防ぐという原理が働いています。
クロスムーブの時、伸ばす方の手側の足に重心が残っていると簡単に体は回転し始めます。
これを保持している腕だけで耐えるのは、かなり難しいです。
耐えられたとしても、握力と体力の消耗が激しいのでクロスムーブのメリットが無くなってしまいます。
そんな時、クロスムーブと組み合わせて使えば効果があるムーブを合わせて紹介します。
組み合わせ相性が良いムーブ
クロスムーブの大敵は重心移動による体の回転です。
回転をを防ぐためには足を使って体の回転を最初から静止させておくのです。
例えばスメアリングが有効な手段になります。
先に足を送っておいて、スメアをしておくのです。
スメアによって体の回転が抑制されるので、振られが発生せず、安定した状態で次のホールドを掴みに行くことができます。
(スメアリンク)
次にフック系ムーブ。
これはすでに使ったホールドにトゥやヒールをかけておいて回転を防ぐ作戦です。
フック系のムーブでは足にも体重が分散されるので、腕への負荷が更に減ります。
フックが使えないときはフラッギングを行うだけでも振られを軽減することができます。
このような足技を組み合わせて体の振られを抑制しておくことで効率的で省エネなクロスムーブができるようになります。
手数を減らして省エネなクライミングを!
クロスムーブは手数を減らして省エネなクライミングを実現するのに適したムーブです。
ですが、足技を絡めないと逆に消耗してしまう逆効果ムーブにもなってしまいます。
クロスムーブ自体はあまり難しくありませんが、クロスムーブを行う壁やホールドの状態によって難易度が大きく変わります。
クロスムーブ単体で使うことはあまりなく、足入れ替えからのスメアやフック系ムーブを組み合わせて使用します。
シンプルなムーブだからこそいろいろな応用が効きますが、単体では逆効果になるかもしれないという奥深いムーブです。