小さなホールドからクライミングウォールまで!
XCULT
15年以上のクライミングの経験と10年以上のホールド製作者(シェイパー)としての経験を持つIliyan Mihaylov氏が2009年に立ち上げたのがXCULTです。
ブルガリア発のホールドメーカーなのですが、多くの事業を展開しており、本業のホールドやボリューム(ハリボテ)を製作する以外にもクライミングウォールを施工しています。
XCULTが施工するクライミングウォールは多角形を多用して自然の岩のような複雑な形をしています。
そんな多角化しているホールドメーカーのホールドたちはどのような特徴を持っているのでしょうか?
甘いも辛いも自由自在なホールドたち
XCULTのホールドたちは10級に使われているような激甘ガバホールドから段課題に使われるくらい辛い(持ちにくい)ホールドを生産しています。
まずはBLADESシリーズ。
直線的な形をしており、BLADES(刃)の名前を彷彿とさせる薄いホールドです。
カチ持ち入門ホールドとしてぴったりなホールドです。
カチ持ちマッチができるくらいの大きさが優しいです。
次にCAMPUS HOLDS。
こちらはトレーニング用のホールドとして開発されていたのですが、普通の課題のホールドとしても使用されます。
このホールド一つで「薄い」から「厚い」キャンパスラングをまかなえるという便利なホールドになっています。
自然の岩っぽいデザインのLIMESTONEシリーズ。
見た目は上級者向けっぽい形をしていますが、実際はガバホールドです。
このLIMESTONEシリーズは自然の岩を再現したような形をしており、様々な形のホールドを展開しています。
どことなくLapisホールドに似ている気がするのはわたしだけでしょうか。
特徴のあるボリュームたち
XCULTが作るボリュームはどこか不思議な形をしています。
ベジェ曲線(CGなどで使われる曲線)でモデリングしたような、直線と曲線が複雑に入り混じっているのです。
たとえばDUVARというボリューム。
直線と曲線が組み合わさり、ピンチとスローパーを組み合わせたようなボリュームになっています。
スローパーっぽいボリュームだって一癖あります。
このPUNというボリュームは直線的に切り出しているかと思いきや、微妙にグニャッた曲面も同時に存在しています。
この曲面があるだけで、かなり持ち感が変わるところに職人技を感じますね。
逆に直線がほぼないボリュームだってあります。
VODAというボリュームは曲線のみで構成されたボリュームで、クライマーに持ちどころを探させるような設計になっています。
特に画像下の一番大きなボリュームは持てるところが3つあるのですが、それぞれが逆方向を向いているのが特徴です。
芸術的なクライミングウォールたち
先に書いたようにXCULTはクライミングウォールの施工も行っています。
XCULTが施工したクライミングウォールは色使いやその形からどこか芸術的ですらあります。
フランスのコルシカ島にあるジム。特徴的な色使いがかっこいいです。
ベルギーのジム。
日本のクライミングウォールでは見たことがないくらい横の広がりを感じさせます。
この壁でトラバース課題とかやったら地獄でしょうね…
日本にも1件だけXCULTが施工したクライミングジムがあります。それが八王子にあるMAD ROCKです。
きのこのようなクライミングウォールが特徴的ですね。
京都のアドスムムというジムにも似たようなきのこ壁があるので一瞬そちらかと思いました。
多角経営なホールドメーカー
XCULTのホールドやボリュームは日本のジムでも多く使われています。
複数のジムに行く人だったら、きっとどこかで一度は触っているはずです。
わたしの個人的な思い出が詰まっているボリュームがPUNでした。
昔品川ロッキーにこのホールドを使った「ジバニャン」という4級課題があって、当時は相当苦労して登ったものです(完登までジバカス課題と呼んでいました…)。
たくさんのホールドやボリュームを日本でも見ることができますが、クライミングウォールはまだ1つ…
いつかヨーロッパのジムで施工しているような、でかくて特殊なクライミングウォールを日本にも作ってくれる日を待っています。
できたら即、登りに行きますので!!