コンペシーンは必読です。
ザ・ボルダー
巨大な外岩に魅せられた中学3年生・山咲少年が東京から来た同い年の内匠少年と出会ってボルダリングとコンペの世界に飛び込む物語。
田舎に住む山咲少年はムーブも知らないし、チョークは学校の黒板から拾ってくるほどの野生児。
しかも岩への情熱だけで外岩2段(!)の課題だけを3年間トライし続けています。
そんな山咲少年と技巧派の内匠少年が出会い、クライミングの技術と出会ってボルダリングの世界にどっぷりとはまりこんでいきます。
しかし山咲少年は外岩の一つの課題しか知りません。ジムの課題の読み方や段級グレードの違いにも戸惑います。
東京に出てきて外岩もないジムでのクライミング。
外岩2段を登ったことの実力があるのですから、本当はもっと登れるはず…
急成長するためにとった手段はなんとジュニアコンペ(大会)の参加だったのです。
外岩課題と人工課題
ルートセッターが人工的に配置したホールドに山咲少年は苦しみます。「ムーブがわからん…」と…
外岩2段を登ったことのあるクライマーですら、人工課題であるジム課題の4級課題に苦戦する山咲少年。
はじめて外岩を触ったときのことを思い出すようです。
先輩クライマーに登り方をつい聞きそうになるところも、あるあるですよね。
わたし自身、ジム課題の初段を登れるようになった時、初めて外岩に行った時に5級しか登れなくて愕然とした思い出があります。
その逆を山咲少年は味わっていると思うとなんだか親近感がわきます。
野生児な山咲少年が人工課題しかないコンペでどのような登りをするのか…その登り方やクライミングに対する姿勢を目にすると自分のクライミングに対する刺激になる気すらしてきます。
関連するマンガ
コンペをメンタル面から丁寧に描いたのが「ストロベリーキャニオン」です。
具体的なホールドやルートがきっちりと描かれてはいませんが、選手同士の性格やメンタル面が丁寧に描かれているのが特徴です。
実在するジム(品川ロッキー)がモデルでリアルな描写が特徴なのが「フリクションガール」です。
実際に登ったことがある課題が作中に登場していたり、白黒の紙面なのに色とりどりのホールドが伝わってくるマンガです。
コミック百合姫で連載されていた「ぽちゃクライム」。
コンペや外岩シーンは少ないですが、初めてボルダリングをしたときのドキドキやワクワクが可愛らしく描かれています。
このマンガを読んでみて
このマンガを電子書籍で読んでおいてよかったです。紙の書籍だったら手汗びっしょりでカバーがよれよれになってしったことでしょう。
最近は異次元クライミングマンガに人気があったりしますが、ボルダーはリアリティとフィクションとのいいバランスを取れているように感じました。
20201年現在で世界最難課題であるバーデンオブドリームズ(夢の重荷)と人工課題の違いについても触れられている点も素晴らしいですね。
外岩しか知らない野生児な山咲少年が東京のジムで人工的な課題をどのようにこなしていくのか、これから山咲少年の成長が楽しみなマンガとなっています。
個人的にダニエル・ウッズが子供の頃はこんな子供だったのかな…なんて思ってしまいます。
コンペに出たことある人もない人も、外岩触れたことある人もない人も、楽しめる本格派なクライミングマンガとなっています。
最新3巻でました( ・`△・´)!