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世界で最も難しく、最も孤独なV17課題 Burden of Dreams

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2017年現在、世界にたった1つだけV17課題があります。登れたクライマーはただ1人。その課題の名前は"Burden of Dreams"(夢の重荷)。今回はそんな孤独なV17課題を紹介していきます。

Burden of Dreams

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Image:Watch The Lappnor Project - A Documentary About Not Giving Up Online | Vimeo On Demand on Vimeo

まるでナイフで切り出したような、なめらかな岩肌。凹凸のない強傾斜の壁面をしています。

 

ホールドなんてものが存在していないかのようです。僅かな凹凸すら目を凝らさないと見つかりません。

 

Burden of Dreamsはフィンランドのラップノールという街にあります。フィンランド首都から100kmほど離れた場所にあり、舗装されていない道の先にこの岩があります。

 

冬季には雪に包まれる森の斜面に、ぽつんとあるのがBurden of Dreamsです。

 

孤独なV17課題

Burden of DreamのV17という高難易度たる所以は、その手数の少なさとホールドの悪さです。

 

多くのV16課題はV15課題とV14課題などをくっつけてV16としています。その為手数が非常に多くなっており、保持力、スタミナ勝負の世界になってきています。

一方のBurden of Dreamsはわずか4手5メートルほどの巨礫をたった4手で登らないといけないんです。

 

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Image:Watch The Lappnor Project - A Documentary About Not Giving Up Online | Vimeo On Demand on Vimeo

次にホールドの悪さです。ほとんど滑らかな壁面です。僅かにある凹凸はスラブでも使われないくらいの大きさです。

そんなホールドらしいホールドを使って強傾斜壁を登るんです。板ガムほどの厚さのギャップをめがけてデッドやランジを行うんです。

 

そして、そんなV17課題に挑み続けたクライマーがいたのです。

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Image:Watch The Lappnor Project - A Documentary About Not Giving Up Online | Vimeo On Demand on Vimeo

 

Nalle Fukkataival

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Image:Nalle Hukkataival (@NHukkataival) | Twitter

Burden of Dreamsを完登した唯一のクライマー。ナーレ・フッカタイヴァルです。1986年、フィンランド生まれです。

 

彼は12歳からクライミングを始め、17歳で初めてコンペに参加しました。1年後、ワールドチャンピオンシップに出場するまでになり、5位に入賞。この時点でスカンディアヴィアで最強のクライマーとなりました。

 

その後、外岩志向となり世界中の高難易度課題に挑戦して回りました。その時に当時世界最難のV16課題Gioiaも完登しています。そして地元ラップノールで高難易度課題を設定、完登するラップノールプロジェクトを立ち上げました。

 

その中で目をつけたのがBurden of Dreamsです。最高難度V17だと主張できうる課題を彼は見つけたのです。

 

完登までの道のり

ナーレはBurden of Dreamsを完登するのに4年かけています。文字通り昼夜を問わず、取り憑かれたかのように、この課題を登り続けフォールを繰り返してきました。

 

そして2016年。彼はついに自分で設定したV17課題を完登します。その様子を収めたのがこちらの動画です。完登は4:00からのトライ。

vimeo.com

 

V17は本当か?

多くのボルダリングの課題は複数のクライマーが登ることでグレードが見直されていきます。

 

ナーレが登った世界初のV16課題であるジョイアも何人かのクライマーに再登され、V15が相当ではないか?とグレードの見直しの議論がなされています。現に英語版Wikipediaの幾つかの記事ではV15と併記されている記事*もあります。

 

では、Burden of Dreamsはどうか?これは未だ議論ができない状況です。なぜならナーレ以外、誰もこの課題を完登できていないのです。ダニエル・ウッズもBurden of Dreamsに挑戦していますが、結局のところ完登には至っていないので議論が出来ないのです。

 

この課題の完登を果たすクライマーはまた再び現れるのか。それまでBurnden of Dreamsは孤独な課題であり続けるんでしょうね…

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