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Scarpa完全新作ベローチェレビュー 履きやすいだけじゃなく性能も問題なし!

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とにかく柔らかく履きやすい。

Scarpa Veloce

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クライミングシューズって窮屈で痛い…そんなイメージを払拭したと言えるのがこのScarpa(以下スカルパ)のVeloce(以下ベローチェ)でしょう。

ベローチェは2020年の新作シューズで、とにかく履きやすく痛くなりにくいことが特徴でした。

女性モデルもあります。

 

初めてのクライミングでは3時間ほど使ってみましたが、最初から最後まで痛いというのがほとんどなかったの初めての経験です。(おろしたてのシューズでですよ!)

 

履きやすいシューズと言ってもエントリーグレードというわけではなく、めちゃくちゃにシビアなホールドがないのであれば2級かそれ以上の課題でも問題なくこなせてしまうことでしょう。

 

いいところ

  • 履きやすく、長時間履いていても痛くなりにくい
  • 柔らかく足裏感覚がそこそこ鋭い
  • スペックの割に低価格(15,000円前後)

悪いところ

  • ベルクロが細すぎて切れそう
  • ヒールカップの作りが特殊
  • タンが巻き込まれると履きにくい

本当に靴下みたいな履き心地

これまで何足もクライミングシューズを買ってきましたが、ダントツでベローチェが履きやすいです。

新品のクライミングシューズってビニール袋を使わないと履けないくらいギチギチで痛いのが当たり前でしたが、ベローチェはその真逆です。

シューズの中はロリカのような、滑らかでしっとりとした素材が使われていて履いていて気持ちいいです。

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しっとりとした感触がとても気持ちいいです。

つま先の空間も大きく取られており、あまり足の指がきつく曲げられることがありません。

かといってガバガバシューズかと言うとそうではなく、足が痛くなりにくいギリギリのところで調整されているようです。

 

スカルパで独自開発されたS-72ソールもなかなかに粘り、言われなかったらビブラムのソールと区別はできないかと思います。

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箱出しの状態でフローリングを歩くと床のホコリをくっつけるほどの粘りがあるので、慣らし履きのときは掃除して置かないとソールがホコリまみれになってしまいます。

初心者向きかと言われたらちょっと微妙

こんなに履きやすいのだからクライミング初心者向きかと言われたら個人的にはちょっと微妙。
なぜかと言うと、柔らかすぎるほど極端に柔らかいからです。

 

つま先にシャンク(つま先)は部分的に入っていますが、シューズ全体の柔らかさで言えばUnparallelのLeopardに匹敵するくらいの柔らかさ。

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Image:youtubeより 白い部分がシャンクが入っている部分

小さいホールドに乗るときにシューズ自体の硬さで足の裏を支えてくれないので、本当に初心者だと逆に疲れると思います。

 

あと個人的な感覚なのですが、こんなに柔らかいのに足裏感覚はそこまで鋭くないと感じました。

というのも、つま先にだけシャンクが入っているので靴全体の柔らかさに比べてつま先の感覚は若干(本当に若干)鈍いです。

TEKNIKのノーシャドウを踏むようなムーブだと結構恐怖を感じるでしょう。

不安になるほど細いベルクロ

割とべた褒めで書いてきましたが、ベローチェにも欠点(?)はあります。

まず最初がこの細いベルクロと細い金具。

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小指の太さくらいしかない薄い生地でできているので簡単に千切れそうでかなり不安です。

 

また、履きやすいのがこのシューズの最大のメリットなのに、シュータン部分についたロゴのパーツが履くときに(超)邪魔です。

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シュータン部分は通気性をもたせたメッシュ素材になっているのですが、それゆえ素材にコシがなく足入れのときに簡単に巻き込まれてしまいます。

履くときはまずシュータンを引っ張り出しておいて足を入れ、次にかかと部分のプルタブを引っ張るという流れが必要です。

 

最後にこのヒールカップ。なんだか妙な造形になっています。

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左右からくっつけたような形をしていて、かかとの中央に線ができています。

結果として縦方向の剛性はかなり強くできていますが、側面からの力には弱いです。

斜めにヒールフックをかけると靴全体が変形しますので、シビアなフットホールドには厳しいかもしれません。

 

これは個体差だと思うのですが、わたしのベローチェのソールの向きが左右で違っていました。

写真で左に写っているソールは斜めに目が走っているのに、右側のソールはまっすぐ目が走っているのがわかるかと思います。

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性能上は問題ないとは思いますが、こんなふうにソールの向きがずれているシューズは始めてみました。

快適なジム履きシューズならこれ!

履きやすいシューズとはエントリーグレードという認識を改めなければいけないクライミングシューズでした。

ヒールフックが超シビアとか激薄のジブスを踏まなきゃいけないとかの特殊な課題では確実にシューズのスペック不足ですが、全体的に平均点を出してくる優秀なシューズだと感じました。

スポルティバのスクワマがどんな場面でも80点を出すとするならばベローチェは60点くらいを狙っている感じです。

 

価格は15,000円前後とスペック重視のクライミングシューズではそこそこお安いですね。

2万オーバーのスポルティバのハイスペックシューズと比べても、性能がめちゃくちゃ劣るかということはないはず。

ジムで履くシューズや練習履きだったらこれくらい快適な方がいいんじゃないか?と思うほどよくできたシューズです。快適な方が長く練習できますしね。

 

長時間クライミングシューズを履いていたら痛くなりがち…って人はベローチェを試してみてはいかがでしょうか?

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