外岩やコンペの動画でよく大声を出している選手がいます。
チェコのAdam OndraやアメリカのDaniel Woodsなど、やたらうるさく登るクライマーもいます。
クライミング中に声を出すと一時的に脳のリミッターが解除され、フルパワーを発揮することができますが、一体シャウトでそういった効果を得るにはどうしたらよいのでしょうか?
シャウトで脳のリミッターが外される!...かも?
普通、力を出そうと思っても必ずしも100%の力を発揮できているとは限りません。
自分が力を出そうと思って、本当に毎回100%の力を発揮していたら必ず体は壊れます。
そうならないように脳が自動的にリミッターを設けていて体が故障しない程度のパワーに調整しているわけです。
そこで、シャウトをきっかけにそのリミッターを解除していつも以上のパワーを引き出そうというわけです。
シャウトだけではリミッターは解除できない
脳のリミッターはよく出来ていて、なかなか自分で解除することは出来ません。
大声を出す度にフルパワーを発揮していたらリミッターの意味がありませんし。
リミッター解除には必要な条件があります。
それが「興奮」と「集中」です。
この2つの条件がそろっていればシャウトをきっかけに脳のリミッターを一時的に解除することができます。
幸いボルダリングではその両方がそろう状況が整っています。
オブザベーションをしっかりやって集中力を高めて、本気で課題に挑戦しましょう。
それがシャウトによるリミッター解除の前提です。
シャウトのタイミングときっかけ
シャウトして!大声出して!と言われてもいきなり大声が出るわけではありません。
もともとボルダリングとは一人で行うスポーツなので、あまり声を出す機会がありません。
そういう状態でシャウトするのは難しいでしょう。
そこでおすすめなのが「独り言を喋りながら登る」があります。
以前、オンサイトのHOWTO記事でも書きましたが、口の中でつぶやく程度の独り言を言いながら登ると、ここぞ!という所で自然とシャウトが出るようになります。
よく言う独り言が「さぁこっからだぞ…」とか「次の核心、止めろよ…」などの自分で自分に語りかけるような独り言です。
こうすることによって自然な流れでシャウトが出るようになります。
次のホールドを取るときに息を短く吐くようにすると自然と声が出ます。
オンサイトの記事はこちらからどうぞ。
シャウトの種類と効果
シャウトの効果は先に書いたように、脳のリミッターを一時的に解除しフルパワーを発揮できる点にあります。
このリミッター解除により、悪いホールドをつかんだり、腕に負荷のかかる体勢で体をキープ出来たりします。
シャウトと言ってもアニメやドラマであるような「ううぅぉぉぉぉ!!」みたいな長い叫びではありません。
大抵が1秒にも満たない「ゔあっ」とか「お”お”っ」みたいなすごく短い息のようなシャウトです。
この辺のシャウトは孤高の人で良くみられて「あるある!」と思ってしまいます
こういった短いシャウトはデッドポイントみたいなダイナミックな動きでホールドを止めるときによく出ます。
このシャウトにより力が入り体が大きく振られても一瞬持ちこたえることができます。
ほかにもスローパーなどでなんとか頑張って体勢を維持しようとしている時に出る「ゔぅぅぅぅ…」のような長い唸り声のシャウトがあります。
これは長時間筋力を酷使するときに効果的です。
最後に気合系のシャウトがあります。
これはランジやデッドポイントのダイナミック系のムーブで「次のホールドつかめなかったらフォールしちゃうな…」みたいな恐怖心を振り払うためのシャウトです。
気合系のシャウトは結構かっこいいです。
「おらっ!」とか「しゃっ!」みたいな自分を鼓舞するシャウトです。
こういう掛け声でランジの距離がほんのすこしだけ伸びたりするので侮れませんね。
やっぱり最初は恥ずかしい…まずは鋭く息を吐こう!
3級以上になってくるとシャウトなくして最高グレード更新なしの世界に入りつつあります。
自分が思っている以上にハードな課題をこなさないと行けないからです。
とは言え、シャウトするのも気恥ずかしいですよね。
私もそうでしたし、今でもその気持はあります。
そこで最初は「鋭く、短く息を吐く」だけでも良いのでやってみましょう。
「ふっ」とか「はっ」とか「しゅっ」とかです。
それだけでも気合が入ります。
そしてシャウトしている人がいたら、ぜひ「ガンバ!」の一声をかけてあげましょう。
周りも声を出している事によってシャウトがもっとしやすくなります。
声援のサイエンスの記事はこちらからどうぞ。
駄文
以前「しゅっ!」というシャウトを連発していたら常連の方に「ダァシェリエス!ダァシェリエス!!」と相槌を打たれて爆笑しながらフォールしたことがあります。
シャウトにもレパートリーを持たないと…と思い、自分の中では「おらっ!」と叫びながら登っているつもりだったのですが、これまた常連の方に「なんで鱈、鱈って言いながら登ってるの?」と聞かれました。
かっこいいシャウトの道はまだまだ長そうです…