ボルダリングやクライミングのメジャーなムーブと言えばダイアゴナルやフラッギング、デッドポイントなどですが、それ以外にも様々なムーブが存在します。
それらの多くは普段使う機会がないので、目にするのも少ないのですが、そういったムーブを知っているといないとではその課題をクリアできるかできないかの分かれ道になることがあります。
今回はそういったレアなムーブを紹介していきます。
腕で足場を作り出す!フィギュア4
こちらは前回紹介したムーブですね。
今回紹介する4つのムーブの中でもそこそこメジャーなムーブといえるかもしれません。
詳しくは紹介記事をチェックしてほしいのですが、簡単にフィギュア4を説明すると腕に足を絡めて腰の位置を上昇させてリーチを伸ばすというムーブです。
Image:Figure of 4 Start - White #19 at Climb Newcastle - YouTube
強傾斜でやるとすごくかっこよく見えるムーブです。
主に3級以上の課題から使う部分が出てきますが、3級くらいなら他のムーブで解決できるかもしれません。
逆に見た目のインパクトを求めて必要ない所でやったりする劇場型クライマーのお気に入りだったりします。
詳しくはこちらの記事をチェック!
膝とつま先で挟み込め!レストにぴったりなニーバー
次はニーバー(Knee bar)という足技です。
プロレス技にもあるようで、なかなかクライミングやボルダリングのムーブの紹介記事に行き当たりません。
ニーバーというムーブは膝や太ももを大きめのホールドに押し当てつつ、つま先のホールドで突っ張ることで体の安定を保つムーブです。
このムーブの素晴らしいところは足一本に体をあずけることができるところです。
ニーバーが左右の足どちらかにかかっていれば、片足はもちろん、両手だってホールドから離すことができます。
体を落ち着けてから次のホールドを取りにいけるので、このムーブを知っておけばバタバタとした体力消耗型のクライミングを回避できます。
やり方としてはすごく簡単です。ボルダリング初日にだってやろうと思えばできます。
フットホールドに乗せている足の膝か太ももを別のホールドに当てて、背伸びするときのようにつま先に力を入れれて突っ張ればそれだけでムーブ完成です。
ニーバーのイメージはこんな感じです。
Image:5 Advanced Bouldering Techniques | Rock Climbing - YouTube
動画の最後には両手を完全に離してしまっていますね。
そんなことができるくらいニーバーの安定性は抜群で、ルートクライミングなどではニーバーをレストポイントにして腕の疲労を回復させたりします。
このムーブがなぜレアなのかというと、ちょうどいい間隔にホールドが配置されていることが少ないと言う点が大きいです。
ニーバーはホールド同士の間隔が近すぎても遠すぎても決まらないのでめったに見られないムーブでもあります。
落下に注意!バットハング
バットハングとはその名の通りコウモリの様に足だけでホールドにぶら下がる技です。
小学生の頃、鉄棒なんかで膝を鉄棒に引っ掛けてぶら下がる様なイメージですが、ボルダリングではトゥーフックをつかってぶら下がります。
やり方としては一つのホールドに両足でトゥーフックをするというシンプルなものなのですが、頭が足より低い位置にくるのでトゥーフックがすっぽ抜けてしまうと頭から落下するという危険が伴うムーブです。
バットハングの使い所としてはバルジなどの出っ張りから抜け出すとき、ランジやフィギュア4では取りにくい位置(出っ張りの向こう側)にあるホールドを取りに行くときに使います。
足のほうがリーチが長いので足を使えばいいじゃない!という発想のムーブです。
Image:5 Advanced Bouldering Techniques | Rock Climbing - YouTube
バットハングをした後は手を寄せて両手両足マッチをやってから体の向きを整えます。
このムーブも非常にまれなムーブです。
まず両足のトゥーフックがかかるような大きめの良いホールドがなかなか用意されないことと、バットハングを使うような高難易度の課題が少ないということがバットハングをなかなか見ることができない理由です。
派手好きな劇場型クライマーは5級課題で無理やりバットハングをやったりしますが、難易度が跳ね上がるのでおすすめはしません。
ランジみたいな?ダイナミックな動きのサイファー
最後に紹介するのがサイファーです。
サイファーとはランジやダイノのように遠くのホールドを取りに行くときのムーブなのですが、サイファーは踏み切る足が違います。
右手でホールドを取りにく時はランジやダイノでは右足で踏み切るのですが、サイファーでは左足で踏み切ります。
その際、踏み切りに使わない足は大きく振り子のように動かして飛距離を稼ぎます。
サイファーが上手い人のムーブを見てみると、まるで体が浮き上がるように上昇していきます。その様子はこちら。
Image:Power Climbing (Inspired by Louis Parkinson) Bouldering session! - YouTube
サイファーの使い所は足の入れ替えができない状態で遠くのホールドを取りに行くときに使います。
とは言え足の入れ替えができない状態もまれだし、ましてやそんな状態で遠くのホールドを取りに行くのも更にまれなので、めったにお目にかかれません。
そしてこのムーブ(個人的な感想ですが)超難しいです。
私のサイファーですが、ふざけてんのか?!ってくらいに距離が出ません。
デッドと同じくらいしか距離が出ません。
しかも右手でサイファーはできても左手ではサイファーができません。
足のフリと踏み切るタイミング、保持しているホールドの引きつけなどのタイミングの調和が重要らしく、普通にクライミングをしていて身につくものではないようです。
サイファーにはサイファーの特別練習が必要です。
知っているムーブは多い方がいい!
今回紹介したムーブのほとんどは、3級以上でしか使わないようなムーブたちでした。
それでも、知っているムーブは多ければ多いほど有利です。
そしてそのムーブを実際にできるのであれば、もっと有利です。
まだ5級や4級をやっている人にとっては縁遠い話かもしれませんが「あっ、ここはもしかして…!」と思えるのと思えないとでは、その課題をクリアできるかできないかの大きな差につながります。
今はできなくとも「こういうムーブがあるんだぁ」と知っておくだけでも損は絶対にありません!
今回参考にした動画
今回参考にした動画はこちらです。(フィギュア4除く)
www.youtube.com安定のHOWCASTです。
この動画ではバットハング、ニーバー以外にも3つムーブを紹介しています。
それらが強傾斜でのクロスとドロップニー、挟み込みです。
記事中ではポイントしか表示していませんが、ムーブのつなげ方など参考になるのでチェックしてみましょう。
www.youtube.com最近お気に入りのクライマーEric Karlsson氏によるパワークライミングです。
この動画はLouis Parkinsonのような力を全面に押し出したクライミングに影響されています。
そのおかげか、特大のサイファーを繰り出しています。
私ならダブルダイノでも届かないでしょう…