文字通り「教本」
完全図解スポーツクライミング教本
ボルダリングを始めるときに大変参考になる良書です。単なるムーブ(本の中ではムーヴ)の解説ではなく、どうしてそういう動きをすると効果的なのかという原理を丁寧に紹介しています。
ムーブの原理は物理学。作用反作用の法則やテコの原理、運動方程式などの数式だって出てきます。その物理的な要素がどんなふうにボルダリングにハマっていくのかを序盤で解説されるので、ムーブの原理を理解することができます。
物理とか数式とか苦手なんだけど…って人は数式を読み飛ばしてしまっても大丈夫。1つの式に対して十分すぎるほどの例えがありますので、なんとなくの理解でも十分すぎるほどクライミングに活かすことができます。
ダイアゴナルのような有名なムーブからフィギュア4などのレアなムーブまで、たっぷり収録されています。
ボルダリングを始めたての人には基本的なムーブの習得だったり、ホールドの処理の仕方だったりを学べます。結果早く上達できるでしょう。
一方で2級以上を目指すクライマーには自分のムーブに磨きをかけたり、苦手ムーブを克服するヒントが見つかるかもしれません。
読んでみて損のない、ボルダリング(スポーツクライミング)に関して大変良くまとまった一冊でした。
すごく科学的
この本にはたくさんの物理的な解説が紹介されています。例えば、学生の頃に学んだテコの原理。その原理がボルダリングでどうのように活かされるのかが、このページ。
体重60kgのクライマーが重心の違いによってどれほどの違いが出てくるのかを紹介しています。フットホールドに重心が30cm近づくだけで腕にかかる負担が半分以下になることが解説されています。
少々モデル化が簡略的すぎるかもしれませんが、重心をフットホールドに逃すことの大事さが物理法則に則って数学的に表されています。
関連する本
この本よりも感覚的ですが、外岩やリードについて語られているのがこちらの本。
目白にあるカラファテという有名なクライミングギアショップの店長の連載をまとめたのがこの本。かなり外岩志向でリードの落下距離を短く抑える方法や良いビレイのやり方などがまとめられています。
ムーブやテクニックなどの詳しい解説はやや省かれていますので、ある程度登れる人が読むとよりわかりやすいでしょう。
次にスポーツクライミングとは?というところから解説しているのがこの本。
ボルダリングを始める上で必要な道具や準備、ウォームアップとクールダウンなどにもついて語られており、クライミング用語も紹介されているので、全くのボルダリング初心者の人でも知識をつけるのにぴったりです。
リードに関する記述も豊富でいずれはリードにも挑戦してみたいという人にもおすすめ。少ないながらもスピードクライミングの紹介もあり、スポーツクライミング全般を通して見るにはピッタリの本です。
若い頃(まだ若いですが)の楢崎智亜選手が撮影協力していてちょっと懐かしい気持ちにもなれますよ。
この本を読んでみて
ムーブについて深く知りたい人、ムーブを丁寧に人に教えたい人、ボルダリングのレベルアップを狙っている人にピッタリの本でした。
先にも書きましたが、物理的な現象を的確に説明するために数式があるので、数学アレルギーの人はちょっと取り付きづらいかもしれません。でも、それを読み飛ばしてしまっても十分参考になります。
クライミングシューズが特定できるほど、フルカラーで丁寧に書き込まれているところにも注目です。1つのページを書き上げるために実際の模型を作って実験するほどの情熱を持って制作されているので、完成度は非常に高いです。
ちなみに今回紹介したこの3冊は2020年4月現在、すべてkindle unlimitedで読むことができます。単品で購入すると1,760円しますが、月額980円で読み放題タイトル含むこの3冊を読むことができます。
しかも5月6日いっぱいまで最初の3ヶ月を299円で利用可能ですので、kindle unlimitedに登録したことがない人ならば間違いなく登録したほうがお得に読むことができますよ。
電子書籍のほうがクライミングジムでも気軽に読みやすいので、電子書籍に抵抗がない人はkindleで読んでみるのはいかがでしょうか?
この記事のサムネイルはamazon商品ページより引用しました。