解剖学的な視点からクライミングを紐解く!
クライマーズコンディショニングブック
クライミング(ボルダリング)をしていて指が痛い!とか肩が痛い!腰が!首が!手首が!クライミングにはそんなトラブルがたくさんあります。
どうしてそんな痛みが起きるのか?そもそも関節とはどの様な構造をしていて、どのように動作するのか?そういった視点から解説をしているのがこのクライマーズコンディショニングブックです。
体の部位ごとに解剖学的な見解を示しつつ、どうしたら痛みを抑えられるのか、効果的なテーピングはどのようなものかを解説してくれるので、故障を予防するのに非常に参考になることでしょう。
もともとはこの本、クライマーズ・ボディという本を加筆したものなのです。クライマーズ・ボディが発売されたのは2005年。当時はまだまだクライミングも下火でオリンピックの種目になるほどの普及を見せるとは見通せなかったのです。
クライマーが増えた結果、スポーツ科学として怪我を予防するケアやコンディショニングを加えたのがこのクライマーズコンディショニングブックというわけです。
この本の解説は微に入り細を穿つといった所です。最初は筋肉の仕組みやエネルギーの発生のしかたから始まり筋疲労とはなにか?パンプとはなにか?といった人体の仕組みをじっくりと解説しています。
ここで一点だけ注意!怪我の予防やメカニズムについて語られているのですが、この本は医療書ではありません。怪我したときの応急処置には触れられていますが、治療法については軽くしか触れられていません。
あくまでも怪我を防止するコンディショニングブックという位置づけでこの本を読むのがいいでしょう。
様々なケースに応じたコンディショニング
クライミングで酷使する関節へのコンディショニングはもちろん、クライマーのレベルに応じたコンディショニングについて解説されているのは非常に貴重です。
例えば10代のクライマーにはどんな注意が必要なのか解説している点です。成長期のクライマーがオーバーワークをしすぎると関節や骨の成長に悪影響を与えます。
具体的にはクライミングするときに生じる慢性的な指の痛みです。10代というの骨の成長期にクライミングをオーバーワークしすぎたために生じる若年層特有のクライミング指はどのようなものなのか、対処法はなにか。といったことに触れています。
また、伸び盛りの成長期だからこその骨折なども危険です。こういったリスクに対する対処法やアドバイスが解説されています。
他にも高齢クライマー向けのコンディショニングや女性クライマーについての解説もあります。伸びしろしかない初心者向けの解説記事もあり、力に頼ったクライミングをしているとどうなるのかというマイナスについても書かれているので要チェックです。
関連する書籍
クライミングの教科書と言えるのがこの本。スポーツクライミング教本。
フルカラーで解説されるムーブはとてもわかり易く参考になります。マイシューズを買ったのと同時に購入するのがおすすめなくらいの書籍です。
カラファテの名物店長が書いたちょっと癖のあるクライミングの本。外岩やリードをやる人には参考になることでしょう。
本の前半はかなり外岩チックな出来ですが、十分インドアクライミングにも活かせることでしょう。
予防の本。治療の本に非ず。
クライマーズコンディショニングブックの元となったクライマーズ・ボディはわたしがボルダリングを始めたときには絶版になっていて、クライマー仲間も血眼になって探していた超レア本でした。
ときがめぐり、クライミング(ボルダリング)が市民権を得たタイミングで発売されたこのクライマーズコンディショニングブック。時間を経ただけあって完成度を増しています。
特に印象的だったのが「指導者の注意点」が語れている所。時代が下り、若年層のクライマーについての注意点と同様に次世代を育てるという視点ができたのだなぁと妙に感じ入ってしまいました。
繰り返しますが、この本は痛みや怪我を抑えたり、痛みの原因を解説する本です。治し方については医者に頼るよう言われています。予防の本であり、治療の本ではないということに注意してください。
とはいえ予防にまさる治療なし。クライミングを続ける自身がある人ならば買っておいて間違いない本でした。
記事サムネイルはamazon商品ページより引用しました。