小さくても持てたり、小さいから持てなかったり。
TEKNIKの特徴!
今回紹介するのが”TEKNIK(テクニック)”というホールドメーカー。昨今のクライミングホールドは大きく複雑な形をしていて摩擦を利用してホールドを保持するっていうのが流行です。
ですが、今回紹介するTEKNIKというホールドメーカーはその流行とは遠く離れたところにいるようです。TEKNIKのホールドは小さく、そして古き良きクラシカルなシェイプをしています。指先でフルクリンプ(カチ持ち)するような外岩みたいな持ち方をするホールドが多いです。
クラシカルなホールドメーカーといえば以前紹介したMetoliusもとてもクラシカルなホールドが多いのですが、TEKNIKのホールドはMetoliusとはちょっと違うのです。というのもTEKNIKのホールドはとても小さく、繊細な指使い・足使いを要求されるのです。だけど小さいのに、正しく保持できたときに抜群の保持力を発揮する不思議なホールドでもあります。
小さくても保持れる?!
Image:Screw-on Hard | Teknik* Handholds
カラビナがでっかいわけじゃありません。ホールドがちっちゃいのです。「これジブス(足用ホールド)じゃないの?」って思うかもしれませんが、ハンドホールドとして設計されています。一番小さいホールドだと親指の爪くらいの大きさしかありません。指だって人差し指くらいしかかからないのでホールドの向きをしっかりと意識して丁寧に保持する必要があります。
Image:Screw-on Incut | Teknik* Handholds
最初に紹介したホールドとよく似ていますが、こちらは大きさはほとんど変わりませんが、厚みが増しています。ホールドによっては人差し指と親指で激薄ピンチを決めることができます。とはいえ粒ガムくらいの大きさしかないので全力ピンチが必要ですが…
Image:Flaps | Teknik* Handholds
TEKNIKには珍しいデレホールド。これまでに紹介したハンドホールドと比べて圧倒的に指がかかります。むしろガバに感じるくらいの優しさがあります。ハリボテの端っこにこいつが付いていると一気にハリボテが持ちやすくなります。フットホールドにしても抜群の安定感を誇る優しさに溢れたホールドです。ただしTEKNIKにしてはっていう話で、3級くらいにならないとハンドホールドとして出てきません。
恐怖との勝負なツルツルフットホールド!
Image:No Shadow Tip Toes | Teknik* Handholds
クライマー絶対スリップさせるという強い意志が感じられるホールドがこちら。その名もノーシャドウ。影もできないくらいのツルツルホールドです。スラブにあると絶望するやつ。乗るには乗れるのですが、乗り込んだときにツルって行きそうで恐怖でプルプルしちゃいます。
Image:Formulas | Teknik* Handholds
ここに来てようやくボルトオンホールド。これまでのホールドのサイズ感からしたらまるでハリボテくらいの大きさに錯覚してしまいますね。意外と持ちやすい?乗りやすい?と思いきや手や足に触れる部分がすべて手前側に傾斜しているので鬼のように持ちにくく仕上がっています。フットホールドだとしっかり踏んでおかないと簡単にツルッっと行きます。
Image:Hard Math | Teknik* Handholds
影だ!影ができるホールドだ!TEKNIKではもうこれは超大型ホールド。ハリボテと言っても過言ではありません。相変わらず手前への傾斜はすごいのでしっかりと体を落としてスローパーのように処理をしなければいけません。足元にノーシャドウがあると絶望するやつ。
悪意の塊
Image:GeoFlats | Teknik* Handholds
こいつが使われていた品ロキの2級課題を忘れない…不揃いなベニヤ板のような形をしていますが、きれいに角が落とされています。エッジが立っているとカチ持ちでも保持することができるのですが、角が落とされているのでオープンハンド気味に持たなければいけないのが本当に難しい。Wataaahのドーナツくらい嫌い。
Image:GeoShards | Teknik* Handholds
上記のホールドがちょっとだけ分厚くなったホールド。角も落とされていません。カチ持ち必須のホールドです。フットホールドにも使えるし、うまく持てば抜群の安定感を誇る素晴らしいホールド。でも僕はこのホールドを縦に設置して、ピンチに持たせようとしたルートセッターを知っている。指皮がなくなったぞ、どうしてくれる。
クライマーを知り尽くしたホールドたち
TEKNIKのホールドは優しい顔をしてくれません。基本的にどうやれば持ちにくいか?って言うのを徹底的に吟味して設計されているように感じます。また、ホールドの向きによっては全く持ち感が変わるようなルートセッターにも使いやすいように工夫されています。
持ちやすさを研究した結果、”こうやれば持ちにくいんだ”っていう逆転の発想が生かされているようにも感じます。今時珍しい大型ホールドをほとんど作らないホールドメーカーです。いろんなクライミングジムで使われているのですが、いかんせん小さいホールドが多いので注意しないとなかなか見つかりません。
今度ジムに行ったときは小さい星が付いたホールドを探してみてください。それが小粒でもピリリと辛いTEKNIKのホールドです。