実は超有名なホールドを作っています。
Escape holds
アメリカはウィスコンシン州、2006年に設立したEscape holdsはたった1人のクライマーが設立しました。大学時代にクライミングに魅了されたライアン・アンジェロ氏は美術の学位を持っていたものの、ホールド制作の知識はゼロ。手探りでホールドを作り始めるという始まりでした。
10年の後、大きく大きく成長したEscape holdsはFriction Climbing(カナダ)と連携して同社の製造拠点をアメリカに移し、2018年にはKingdom ClimbingとWorking Class Climbingを買収するまでに成長しました。
このEscape holdsはあまり日本でもたまに見かけます。コンペなどではあまり使われていませんが、ツルツルとザラザラが同居するデュアルテクスチャは実にモダンな作り。
小さなジムでよく
FrictionやCheetaのようなコンペでよく見るホールドやボリュームはないですが、実はクライミング業界で非常に重要なホールドを作っているのです…
IFSC Speed Climbing Hold
スピードクライミングで使われているトレーニングホールドを製造しているのがEscape holdsです。スピード命で一発勝負のスピードクライミングではホールドの形も重要。
本番と寸分違わない精度が要求されます。
Escape holdsで作られているスピードクライミング用のホールドは正式にはIFSCの認証を受けてはいません。世界認定されているホールドやスピードクライミングウォールは世界に数えるほどしかありません。
練習する機会が少ないと競技自体が廃れてしまうので、IFSCは意図的にサードパーティ製のホールドの作成を許可しているそうです。
デュアルテクスチャが魅力のLegacyシリーズ
ホールドの造形が三日月のような形をしている”Legacy Moon”です。写真を見てわかるようにツルツルとザラザラが同居している今風のホールドです。
持てる部分を制限することで一癖も二癖もある課題にすることができますからね。ツルツルの部分をフットホールドに使うときの緊張感がたまりません。
同様のツルザラの表面を持つマルチポケットホールド。複雑な形の上にツルツルとザラザラの面がこれまた複雑に同居しています。
このホールドは2019年の最新作で日本で見ることはできていませんが、もし見かけることがあったら、何級であろうと触ってみようと思います。
でっかいポケットが特徴の”Legacy Slot”です。ポケットはガバなので、比較的簡単な級から目にすることが多いホールドです。
難しい課題になってくると、このポケットにトゥを入れ込むようなムーブを強いられてるのでかなりの恐怖を感じることでしょう…
激辛ホールドからガバホールドまで…
小粒でピリリと辛いのはTEKNIKのお家芸ですが、Escape holdsだって負けていません。
”Arrowhead”と名付けられたこのカチホールド。矢じりと言う名前だけあって斜めの形をしています。指を揃えて持てないのが非常に意地悪ですね。スラブが主な生息地。
微妙にエッジが立っていないので足を置くにしてもスメアリングっぽく乗らないとダメなこのホールド。
とあるスラブの初段課題のスタートがこのホールドでスタートすらさせてもらえなかったことをわたしは忘れていないぞ…
激辛ホールドもあれば激甘ホールドだってあります。名前も”Simple Jugs”と潔い名前をしています。
指皮が育っていない初心者でも指に優しいように角が丸っこく処理されているささやかな優しさが光ります。
ホールドやボリュームトレーニンググッズまで!
Escape holdsでは今回紹介できなかった大量のホールドやボリュームが販売されています。折り悪く2020年3月現在は新型コロナウイルスの影響で発送が遅れているようです。
ロッキー系列店やその他の個人経営のジムも経営規模の縮小や臨時休業が続いています。早く感染の収束と元通りのジム経営に戻って欲しいものです…