世界でも指折りの冒険者のみが挑戦できるチャレンジがあります。それがエクスプローラーズ・グランドスラムです。今までに41名の冒険者がチャレンジに成功しているのですが、この4月に日本人女性が最年少記録を樹立しました。
エクスプローラーズ・グランドスラムとは?
このチャレンジであるエクスプローラーズ・グランドスラムとは「世界7大陸の最高峰と北極点・南極点の到達」が成功条件になっています。世界を旅しながら登山を行うようなものですね。旧レギュレーションでは北極点と南極点到達が必須条件ではなく、89度(北極・南極点までの1度以内)に到達すればOKだったのですが、現在は北極点・南極点まで到達しないと行けません。
途中登頂しなければならない山々はエヴェレストはもちろん、南極大陸の山岳であるヴィンソン・マシフまで登らなければ行けません。非常にハードな挑戦なのですが、41人の冒険者がこのチャレンジに成功していますが、2017年4月19日に日本人の南谷真鈴さんが20歳と112日で世界最年少での挑戦に成功しています。
どんな山に挑戦するの?
世界七大陸の最高峰を登ることが条件になっているのですが、その山々を紹介していきますよ。
- アジア大陸:エヴェレスト(8,848m)
- 南アメリカ大陸:アコンカグア(6,959m)
- 北アメリカ大陸:デナリ(6,194m)
- アフリカ大陸:キリマンジャロ(5,895m)
- ヨーロッパ大陸:エルブルス(5,642m)
- 南極大陸:ヴィンソン・マシフ(4,892m)
- オーストラリア大陸:コジオスコ(2,228m)
それぞれをまとめるとこんな形になります。
やはりエベレストが頭一つ抜けて高く、続いてアコンカグア、デナリ(旧名マッキンリー)と続いていきます。多くの冒険者は数年かけて一つ一つの山を巡っていくのですが、中国出身のJing Wang氏はわずか142日でエクスプローラーズ・グランドスラムを達成するという快挙を成し遂げています。
最年少記録の南谷真鈴さんの軌跡は?
今回世界最年少のエクスプローラーズ・グランドスラムを達成した南谷さんは2015年1月にアコンカグアを登頂してからほぼ2ヶ月おきに大陸最高峰の山々を登頂し、2017年4月に北極点に到達することでエクスプローラーズ・グランドスラムを達成しました。
彼女の凄まじい所は世界最年少という記録を打ち立てつつも、7大陸の最高峰以外の山にもチャレンジしているところですね。グランドスラム達成の条件になっていないモンブランやプンチャック・ジャヤ、8000m峰の一つであるマナスルにも登頂しています。
なおモンブランとプンチャック・ジャヤは世界七大陸の最高峰の一つとして数えられる事があり、それらの山をもコンプリートするという念の入れっぷり。もしこの3つを登らなかったら19歳でのエクスプローラーズ・グランドスラム達成もあり得たかもしれませんね。
その徹底っぷりが奏功し、世界最年少のグランドスラム達成という偉業以外に日本人最年少のエベレスト登頂。日本人最年少の8000m峰登頂。さらにマナスルの世界最年少登頂記録という3つの日本・世界記録を打ち立てています。
無論、その道中は平坦なものではなく、途中同行するシェルパに襲われそうになったりと危険な目にもあっています。親御さんはきっと気が気ではなかったのではないでしょうか…
トゥルー・エクスプローラーズ・グランドスラムとは?
達成するだけでも大変なエクスプローラーズ・グランドスラムですが、その上位に位置するのがトゥルー(真の)・エクスプローラーズ・グランドスラムです。これは従来のグランドスラムに加えて「14の8,000m峰を登頂する」という条件が付け加えられています。
都合20の山々と2つの極地を踏むというとんでもないチャレンジですが、これまでに一人だけこの挑戦に成功している冒険者がいます。韓国の朴英碩氏です。氏は2005年4月にこの記録を成し遂げたのですが、2011年に死の山アンナプルナで消息をたったままとなっています。
南谷さんの年齢を考えるとチャレンジしかねない勢いですが、山で亡くなるようなことだけは避けてほしいですよね…「岳 みんなの山」にありました。「山で捨てちゃダメなのは…ゴミと命!」