ハードなものからソフトなものまで
登山・クライミング漫画
いつの時代も多くはないが一定数はあるのが登山やクライミング漫画。誰も死なないキャッキャしたものから、バンバン遭難死していく漫画まで様々です。
最近だとカジュアルな登山やキャンプ漫画が多い気がします。今回は2018年でも入手しやすい登山・クライミング漫画たちを紹介していきたいと思いますよ!
のぼる小寺さん
最近のクライミング漫画、特にボルダリングに焦点を当てた稀有な漫画でした。全4巻です。1巻目あたりの序盤はあまりクライミングしていなかったんですけど、3巻目辺りから急にボルダリング漫画っぽくなって4巻で一気にコンペに出場して終了。
後半の高速な展開になにか良からぬ考えを巡らせたくもなりますが、よく言えばコンパクトにまとまった展開でした。ボルダリングのムーブ解説などはあまりありませんでしたが、レスト中に読むぶんにはちょうどいい漫画ですよ。
ゆるキャン△
おそらく今最も勢いのあるアウトドア漫画といえばこれ。既刊7巻。アニメにもなりましたしね。登山やクライミング漫画ではないのですが作者のあfろ氏の描くアウトドアの世界感はキャンプやアウトドアに興味がない人でも一度は見ておくべき。
最新刊に近づくにつれて魚眼レンズっぽい描写が増えてきてあfろワールドにも磨きがかかってきています。会話の描写をできるだけ省いている辺りもぐっと漫画の世界に引き込まれる要因にもなっているのかも知れません。
Image:ゆるキャン△7巻 34ページより
この魚眼レンズに歪んだ世界。素晴らしい画力。限られた紙面、コマを最大限に利用して少しでも多くの景色を詰め込んでいるかのようです。魚眼レンズ以外にもたくさんのレンズ効果が見られるのも最高です。
神々の山嶺
エヴェレストの初登頂は誰だったのか?っていう登山史に残る大きな謎をテーマににしたこの漫画。全5巻。孤独のグルメで有名な谷口ジロー氏による作画の登山シーンはまるでドラマを見ているかのよう。
デスゾーンで滞在するときの意識の混濁や幻覚の描写も生々しくて、読んでいる方もなんだか息苦しくなってきます。山登りに興味がない人でも一度は読んで起きたい仕上がりになっています。
K
こちらも谷口ジロー氏による登山漫画。全1巻。オムニバス形式で様々な山にまつわるドラマを描きます。こちらの作品はリアル路線の登山漫画としては、やや現実離れした描写が目立ちますが、エンタテイメントな登山漫画としては許容できるレベルかと。
惜しむらくは途中、しかも物語のクライマックスで乱丁があるってところ。なんともったいない…ページが入れ違いになっちゃってます。あとやたら文字が背景の山とかぶって読みにくいところはあります。
山と食欲と私
山グルメをテーマにした漫画。既刊8巻。山で食べるご飯って美味しいね!みたいな軽いノリかと思いきや、きっちり登山しています。カバー裏の細かい装備の解説を見れば作者のこだわりっぷりがよく分かるかと思います。
登山では不要な荷物を持っていくことは本来あってはならないこと。でも美味しいごはんを山で食べたいっていうジレンマにどんなふうに取り組むのかっていうのがこの本の裏テーマになっているのかも知れませんね。
気になる漫画はありましたか?
今回紹介したのは厳選した5作品でした。古いものから最新のものまで一通り押さえています。ここから除外したものとしては「岳」や「孤高の人」なんかがあります。
「岳」は長野県を中心にした山岳ボランティアのオムニバス形式のお話。全18巻落ち葉が散るだけの話から誰かが死んじゃう話まで様々なエピソードを垣間見る事ができます。
物語の終わり方に賛否が別れてアマゾンのレビューも最終巻だけ130件を超えています。まさに喧々諤々の議論が行われるような終わり方でした。
「孤高の人」は同名の小説を元にしたクライミング・登山漫画。全17巻。主人公以外全員悪役で見ていて辛くなるのがこの漫画の辛い所。
暗喩描写が多くて、一瞬「?」ってなるかも知れませんが、幽霊のようなオーラを放つ主人公がかっこいい。
今回紹介した登山・クライミング漫画ですが、登山業界からも実は注目されていて、山と渓谷社の登山白書2017にも文量は少ないですがきっちり載っていたりします。その中では「最近は可愛い女の子が登場する漫画が多くてそろそろ昔あったようなハードな登山漫画が出てきてほしい」なんて書かれていたりします。