古くて新しいクライミングシューズメーカーです。
アンパラレル
2018年に登場したアンパラレル(Unparallel)というシューズメーカーがあります。
できたてホヤホヤのクライミングシューズメーカーですが、実は変わった背景があります。
実はアンパラレルというシューズメーカー、もともとはあの大手シューズメーカーである5.10(ファイブ・テン)だったのです。
5.10は2018年にアディダスに買収されてアディダス5.10となりましたが、カリフォルニアの工場が分離独立し、アンパラレルとなりました。
アンパラレルとは日常と非日常(クライミング)をつなぐフットウェアを目指したところから名付けられています。
5.10時代に培われたノウハウはどのようにアンパラレルで活用されているのでしょうか?
レグルス
ハイアングルのそっくりさん。
しし座に輝く星の名前から名付けられた、アンパラレルのハイエンドシューズです。
やや固めに設計されたダウントゥ。ヒールフックの効きを良くするために延長されたトゥラバー。フィット感を向上させたスリングショットとベルクロ。
すべてがクライミングに向けて入念に吟味された設計になっています。
かの日本を代表する楢崎智亜選手もこのシューズを使っていますし、ジムでも頻繁に目にします。
わたしもこのシューズを使ってみたかったのですが、フィット感は良いのに足入れがギッチギチの最悪だったので泣く泣く諦めた思い出があります…
ヴェガ
JET7のそっくりさん。
はくちょう座に輝く星の名前から名付けられたシューズ。日本語で言えば織姫星。
真っ黒なデザインが特徴的ですが、これはトゥレザーにゴムの粉末を塗布したからです。トゥーラバーを使わないので足先に自由度が与えられています。
その分やや柔らか目に設計されており、エッジング性能をやや殺してスメアリング性能に振っているようです。
V字に締め付けるように配置されたベルクロが足によくフィットします。
実はJET7は5.10時代に廃盤になっていたのですが、アンパラレルになってまさかの復活でした。
シリウス・レース
ドラゴンのそっくりさん。
おおいぬ座に輝く星の名前から名付けられたシューズ。太陽以外で最も明るく輝く星の名を冠しただけあってアンパラレルの自信作のようです。
公式ホームページからも自信がにじみ出ています。
Your climbing partners will swear that you’re cheating with these shoes!
訳:クライマー仲間は、あなたがシューズでチートしていると思うこと間違いなしでしょう!
文書:公式ホームページから
レースアップのフィット感を実現しつつ、レースアップの弱点であるトゥフックを靴紐をずらすことで補った名作となっています。
もともとのドラゴンはややクラシカルな色使いになっていますが、シリウスになってぐっと今っぽくなりましたね。
レオパード
Team VXiのそっくりさん。
グニャグニャシューズの代表。そしてわたしのマイシューズ。わたしが履いてきたクライミングシューズの中でもダントツにグニャグニャでした。
柔らかいシューズにグリップ抜群のソールが組み合わされ、スメアリング特化型のクライミングシューズとなっています。
エッジングは苦手ですが、スメアリングやエッジングとスメアリングを組み合わせたスメッジングは大の得意です。
小さいフットホールドにもドヤ顔で乗り込めちゃいます。
スラブに強いこのシューズを使い始めたのですが、スラブにめっぽう強くなりました。
1年前まではスラブの4級を何回もトライして登れていたのですが、最近このシューズを使ってスラブの2級をオンサイトできました。
古くて新しいシューズメーカー
5.10がアディダスに買収されたときはクライミング業界には激震が走りました。
ハイアングルはどうなるんだ?!ドラゴンは?!って5.10ユーザはハラハラしていました。
5.10ユーザの多くは結局アンパラレルに移行したのではないでしょうか?
5.10時代のハイアングルユーザだった楢崎智亜選手は、あっさりアンパラレルに移行してしまいました。
なんなら自身のモデルシューズを作成してしまいました。その名もTN-Proです。レグルス(ハイアングル)ベースとなっています。
クライマーってのは自分の道具に強いこだわりを持っていますものね。
アディダス5.10となって靴の作りは5.10時代から良くなったとも聞きます。
新しいアディダス5.10か。老舗のアンパラレルか。
これからクライマーはどちらを選ぶのでしょうか?