アディダス傘下になって何が変わったのか?
adidas 5.10
5.10がアディダスグループに買収されてもう数年立ちます。買収時にオリジナルのシューズ工場はアンパラレルというブランドに分裂するというドラマはありました。
しかし、5.10の看板はadidas 5.10として存続し、クライミングシューズのラインアップは2020年も新作が発売されています。
コロナ禍の影響で営業を自粛していたクライミングジムも徐々に人手が戻り、ちらほらadidas 5.10を使っている人も増えてきています。
adidas 5.10になって大きく変わったと感じるのがシューズの作りがより丁寧になったというところ。
もともと5.10もアンパラレルも裁縫は丁寧にされていたのですが、シューズの中の縫い目などがほとんど見えないくらいキレイに処理されており快適性を増しているように感じました。
よく使用するプルタブやベルクロ周りもしっかりと強化されており、何年も使っていても引きちぎれてしまうこともなさそうです。
Hi Angle
- 価格:19,800円(税込)
- 重量:220g
- ソール:Stealth C4
5.10時代のフラッグシップモデルだったHi Angleはaddidas 5.10になっても健在です。クライミングシューズで白を貴重としたデザインは珍しいですね。
旧モデルよりも柔軟に設計されており、ベルクロも長め。甲高な人や足幅が広い人にも対応できます。
柔らかさを生かしてスメアやボリュームにもべったりと乗ることができそうです。
もちろん女性モデルも用意されています。
Crawe
- 価格:20,900円(税込み)
- 重量:390g
- ソール:Stealth HF
adidas 5.10になってからの新ラインアップ。名前はクロウと言います。
公式ホームページにはピッタリとした靴下のようなフィット感(本当かよ)と書かれており、5.10時代のTeamVXiを彷彿とさせます。
個人的にはTeamVXiもアンパラレルのレオパードもは着心地はお世辞にも履きやすいとは言えなかったので、快適性にかじを切ったCraweには期待しています。
Aleon VCS
- 価格:20,900円(税込)
- 重量:210g
- ソール:Stealth C4
2020年ロッキー系列店で一番良く見るAdidas 5.10のシューズといえばこれ。アレオンと言います。個人的にハイアングルよりもよく見ます。
ターンインやダウントゥもキツめ。そして公式ホームページにはお決まりの「靴下のようなフィット感」ということでスポーティな形にも快適性を与えています。
クロウ君とカラーリングが似ていますが、エッジも立っており、こちらのほうがより競技向きです。
Dragon VCS
- 価格:20,900円(税込)
- 重量:215g
- ソール:Stealth HF
メーカーが変わって復活した珍しいモデルがDragonです。昔ながらの強烈なダウントゥが今となっては懐かしく感じてしまいます。
色使いは5.10時代から随分と変わってしまいましたが、Sportivaのテスタロッサやジーニアスと同じくトゥフックを邪魔しない非対称な靴紐の配置が工夫を感じさせます。
ベルクロモデルもあるのでお好みでどうぞ。
シューズのデザインが丸くなった感じ
5.10時代のシューズは快適性を多少犠牲にしてでもクライミングの性能を向上させるというイメージが強かったのですが、adidas 5.10になってからは快適性を向上させる工夫が多く見られるように感じます。
もちろんソールやシューズの素材の進化で、過去のようにシューズのすべてのクライミングに捧げなくても良くなったのもあるかもしれません。
思うにadidas 5.10は履きやすく・登りやすいシューズを軸に初心者から中級者くらいのクライマーにターゲットを絞っているのではないでしょうか。
コンペに使うようなガチシューズは他のメーカにおまかせして、ジムユースなどで使ってほしいのではと思ってしまいます。
現に楢崎智亜選手は5.10時代はハイアングルを使用していたのですが、今はアンパラレルのレグルスを使用しています。
もちろんこの路線変更が悪いってわけじゃありません。
adidasという巨大な資本が投入されて、高品質でハイスペックなクライミングシューズが安価に製造されるようになっていけば、それこそNikeの厚底シューズみたいな状況になってしまうかもしれませんね。