外岩の動画などを見てみると岩に張り付いているクライマーの下にバンザイをしている人を見たことがありませんか?その人のことをスポッター(スポットする)と呼びます。でもスポッターって何をするんでしょうか?
クライマーを「受け止めない」!
スポッターの役割はなんとなくわかるかもしれませんが、クライマーの安全な落下を助けることがスポッターの役割です。私も勘違いしていたのですが、スポッターはクライマーを「受け止めません」。
いくら身軽なクライマーとは言え50kg~60kgほどある人間が数メートル上空から落下してきたら受け止めようがありません。頑張ってクライマーを受け止めようとすると逆にスポッターが怪我をしてしまう危険すらあります。
ではスポッターは何をするのか?それは先にも書いた様にクライマーを安全に、足から落下させるのがスポッターの役割です。
スポットの準備編
当然ですが頭から落下すると危険です。肉厚なマットが用意されているボルダリングジムでも危険なのに、外岩だと小さいマットゾーンに落下しなければいけません。それを助けるのがスポッターです。スポッターは落下してくるクライマーを正しい場所に落下させる重要な役割を持っています。
スポッターの重要性がわかったところでどうやってスポッターをやるのかを確認していきましょう。
1.まずは一緒にオブザベーション
クライマーが登るルートをスポッターは理解しておく必要があります。そうしないとどこにクライマーが行くのかわかりませんからね。「あそこ核心だね~」とか「あれ取った後は右に振られそうじゃない?」とか会話を交わしておくと落下タイミングと位置の見当がつきます。
2.マット位置の調整(外岩の場合)
クライマーがスタートをする準備ができたらルートカバーするようにマットを移動させましょう。できれば複数人でスポッターをする人、マットを移動させる人がいれば安心です。スポッターがマット移動役を兼ねるのはやめましょう。なぜならマットを移動させている時にクライマーが落下してくるかもしれないから。マットはやはり人数分はあったほうがいいでしょう。
3.クライマーへの追従
いよいよスポッターの仕事のしどころです。クライマーが登っていくのにしたがって場所を移動しましょう。立ち位置はクライマーの落下地点から一歩下がった位置がいいでしょう。クライマーの落下に備えて膝と肘を少し曲げ中腰の姿勢でバンザイする様な準備体制をとっておきます。
クライマーはいつ落ちてくるかわかりません。クライマーから目を離さず、常に落下に備えましょう。
スポッターのいろいろ
スポッターはクライマーの安全な落下を助ける重要なお仕事です。でもジムだとなかなかスポッターをやらないのも事実。いきなりスポッターを任されて困らないようにスポッターのやり方をチェックしていきましょう。
スポッターの姿勢
先に書いたように膝を曲げ腰を落とし、肘を曲げてバンザイするような姿勢が基本です。外岩だと足もとが悪い場合があるので特に気をつけましょう。
膝を曲げるのはクライマーの落下の衝撃をもろに膝に与えないためと素早く落下位置に移動するためです。腕を曲げておくのも同じことで肘を伸ばしきって置くと落下の衝撃がモロに手首や肘、肩に伝わります。そうしてしまうとクライマーだけでなくスポッターまで怪我をしていまいます。
スポッターの位置
スポッターの立ち位置はクライマーの落下点から一歩下がった所が基本です。近すぎるとクライマーの落下に巻き込まれ、遠すぎると落下の補助ができません。クライマーの動きに合わせてスポッターも移動しましょう。
落下時の補助
クライマーの落下は一瞬です。前もって腕を上げておかないと落下に間に合いません。クライマーが落下してきたらクライマーの肩あたりを押してあげます。そうするとクライマーは自然と足から落下できるようになります。また頭からの落下を防げるので、最悪の事態を避けることができます。もし余裕があれば腰のあたり(重心)に手をそえてマットの上に落下できるようにクライマーを導きます。
落下方向の予想
スポッターはクライマーの落下方向を予測して位置取りを行う必要があります。デッドなどのムーブで振られてしまうと思いもよらない方向に落下してしまうことがよくあります。クライマーが地面にたたきつけられないように前もってルート確認&ムーブを予想して落下方向を先読みしましょう。
落下はクライマーの責任
ジムではなかなか見ないスポッターですが、外岩では必ず目にします。だってそうしないと本当に危ないから。スポッターがいる状態でクライミングをすると安心感がすごいです。ガンバ!とかナイス!と応援してくれるとなおさらです!誰かがスポットに入っていると言うことは精神的にも安定します。
でもいくらスポッターがいるからといって落下をスポッターまかせにしちゃうのはだめです。あくまで落下はクライマーの責任。安全な姿勢かつ両足で落下するのが基本です。スポットをやったりやってもらったりしながら安全なクライミングを楽しみたいですよね!
でもくれぐれもこんなスポットはしないでくださいね!