きっと行きつけクライミングジムにもあるはず。
それがキャンパスボード。ジムの片隅にひっそりと設置されているはずです。
そんなキャンパスボードですが、イマイチ使い方が分からないひとも多いのではないでしょうか。
ボルダリング歴1年半以下はお断り?激辛トレーニング?
キャンパスボードとはこんな風な出で立ちをしています。
ちょっと前傾の壁に木の板っ切れ(キャンパスラングと言います)が何枚か取り付けてあるだけのシンプルなトレーニングウォールです。
このトレーニングウォールを使ってデッドハングやラダー(後述)をやったりするのですが、キャンパスボードで鍛えられるのは「指の腱」です。
指の腱が鍛えられると悪いホールドでも長時間保持できたり、ランジやデッドでも極悪ホールドを止めることができるようになります。
要するに強いクライマーになるために必須のトレーニングなのですが、だからこそ、初心者の間にこのキャンパストレーニングをやると強くなる前の指には負荷が高すぎて怪我につながってしまうのです。
この記事を書くにあたっていろいろなキャンパスボードをできる基準を探しましたが「3級以上のオンサイト経験がある」とか「ボルダリング歴が1年以上」とかいろいろな基準がありました。
最も甘い?基準で「クライミング歴18ヶ月以上」とありました。
そういうわけで、クライミング歴が18ヶ月以上ある、もしくはそれに準ずる自信がある方はぜひこれから紹介するキャンパスボードトレーニングをやってみてはいかがでしょうか。
ウォームアップは万全に、怪我や痛みはない?
キャンパスボードトレーニングはハードなトレーニングです。
だから最初にゆっくりとしたウォームアップから開始しましょう。
最初の頃はクライミング終わりの最後の25%くらいをこのトレーニングに当てるつもりでいいでしょう。
指に温かい血液が流れ込んでいない時にこのトレーニングをやってしまうと怪我のリスクが跳ね上がります。
また、慢性的に指が痛いとか肩が痛いという人もこのトレーニングを避けておきましょう。
キャンパスボードトレーニングは強くなるものであって怪我を癒すものではないのですから。
まずはここから!デッドハング
キャンパスボードでまずやることはデッドハングからです。
デッドハングとは簡単に言うと「ぶら下がり」です。
足をマットから浮かせて10秒間ぶら下がります。
10秒たったら10秒休憩です。これを10セットほど繰り返しましょう。
この時重要なのがキャンパスラングを持つ手の形です。
キャンパスラングを指を曲げこんでもってしまいがちですが、できるだけ指を伸ばして持ちます。
この保持の仕方を「オープンハンド」といいます。
このオープンハンドグリップがキャンパスボードトレーニングの基本になるのでしっかり指を伸ばして「指先で引っ掛けてキャンパスラングを持つ」ということを意識しましょう。
すべての基本ムーブのタッチ!
デッドハングの10セットができるようになったらいよいよキャンパスボードらしいトレーニングをやっていきます。
タッチとは「片手を伸ばして1つ上のキャンパスラングに触れて元のキャンパスラングに着地する」トレーニングです。
言葉にしてしまえば簡単なトレーニングですが、キャンパスボードに触れてすぐなんかだと全然できなくて笑ってしまう程です。
そんな時はスメアリングしながらでもいいのでやってみましょう。
このタッチを左右の手で連続して「落下するまで」反復練習します。
手に限界が来て落下してしまったら1分から2分のレストをいれてます。
レストの後また「限界が来るまで」タッチの練習をします。
この限界が来るまで自分を追い込むところがキャンパスボードトレーニングを激辛たらしめる理由なのではと考えています。
最初の頃は左右2,3回が限界だと思います。
もちろんキャンパスボードに初めて触れたって人だと1回もできなくたって不思議ではありません。
1回ずつでも回数を増やしていきましょう。
もし1段飛ばしが余裕になってきたら2段先のキャンパスラングを目指すようにしてもOKです。
このタッチを何回こなせるかがキャンパスボード卒業試験の課題をこなす最低条件なのですから…
キャンパスボード修了試験!ラダートレーニング!
ここまでキャンパスボードと仲良くなってしまったクライマー、ボルダラーの皆さんはきっともうジムに来たら無意識にキャンパスボードの空き状況を目で追ってしまうくらいには中毒になっているのではないでしょうか?
ラダー(ハシゴ)の名の通り、ラダートレーニングとは腕の力だけでキャンパスラングをよじ登るトレーニングメニューです。
口で言うのは簡単ですが鋼の前腕の筋力と反動を生み出す下半身との協調、そして何よりも途中でヨレないだけの強靭な体力が必要です。
例に上げた動画だと2段飛ばしの上級編をやっていますが、最初のうちはちゃんと1段ずつのラダートレーニングから開始しましょう。
このラダートレーニングで上の方まで行けるかどうかを決めるのが「タッチを何回連続でできるか」にかかってきます。
全然上まで行けない!って人はまずはタッチトレーニングに立ち戻り、回数を増やすか2段飛ばしの練習に変えるのを検討して見てはいかがでしょうか?
No Pain, No Gain
キャンパスボードトレーニングをやった後は、普段いくら鍛えていても背中の筋肉痛は避けられません。
それだけ自分を追い込まなければいけないからです。
トレーニング中にとあるクライミングの先輩に言われました。
「落ちることを選択肢に入れるな、最後は勝手に落ちるから」
キャンパスボードトレーニングに限らず、普通の課題をやっているときでも思ってしまうのですが「あのホールド掴めなかったら怖いなぁ」とか「あぁ〜ヨレた無理だ…」という考えがよぎる事があります。
そういったときのフォールは安全で大体は「ストン」と降りられるのですが、そういう考えと行動はどうしても身に染み付いてくるものですよね。
だからこそキャンパスボードのトレーニングの時だけは、脳が無理だと判断しても自分が判断しない限りトレーニングを続けることが大事なのだということでした。
私はまだその境地にたどり着けてはいないのですが、痛みなくして成長なしの精神でキャンパスボードに取り組んでみてはいかがでしょうか?どうせやるならね!