ボルダリングに挑戦するあなたの背中をポンと押したい。

課題は誰が作っているの?意外と難しい課題作り

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本来の意味でのボルダリングやクライミングの課題は自然の岩を登るので、人口のホールドをつける必要がありません。
ですが、クライミングジムの課題は人口のホールドを使って課題を作ります。
ホールドを設置し、課題を作るプロをルートセッターといいます。
ルートセッターが実際に課題を設定し、登ってみて「う~んこれは5級だな」とか「こっちは3級だな」というふうにグレードを決めています。

ボルダリングの課題はどうやって決まる?

クライミングの世界は背の高さやリーチは即、有利ということにはなりません。
もしそうならボルダリング、クライミングの世界はバスケットボールやバレーボールの様に高身長の選手ばかりになってしまいます。
ですが、現実はそうなっていません。
その理由がボルダリングの課題の設定方法にあります。

誰でも登れる可能性があって、誰でも同じくらい難しくする

クライミングの課題を手っ取り早く難しくしようとするのであれば、
ホールド間の距離と伸ばしてあげれば良いでしょう。
ですが、そうなってしまうと背の低い人には3級レベルなのに背の高い人には5級レベルの課題になってしまいます。

ホールド間の距離だけで難易度設定をしてしまうと人によって難易度にばらつきが生じます。
次に考えられるのが使えるホールドを持ちにくく(悪く)するという方法があります。
手が届く範囲にホールドがあるけど、鍛えていないと保持できないようなホールドを使ったりするのがこれです。

他にも小さなフットホールドに乗り込むようなバランス感覚を求められる課題、遠くのフットホールド確実に止める体幹の筋力を問われる課題など様々な要素でボルダリングの課題は難易度付されています。

もちろんありうることですが、ジムによっては課題に片寄りが出てきます。
ジムの設備や大きさによらず課題設定がホールド間の距離と悪さだけで決まっているジムもあったりします。
一つのジムに通い詰めているとなかなか気付かないので、たまには他のジムに行ってみるのもおすすめです。

別解が多く存在してはだめ

ボルダリングの課題で重要なのがムーブを限定するという点があります。
次のホールドをつかむにはどうしてもデッドをしなきゃいけないとか、このフットホールドに乗り込まないといけない。と言った核心をつくる作業です。

ムーブを限定できる様にホールドを設定すると一言で言えてしまいますが、これがボルダリングの課題設定で一番難しいところだと思います。
クライミングの課題をやっていて「この課題はここをこうして登って欲しいんだ!」と気づくことがあります。
そういう瞬間は課題を通じてルートセッターと会話しているようで楽しいひと時です。
この課題○○さんっぽいな~と思って後で確認するとズバリその通りだったりします。

作りこみが不十分な課題では核心回避できるムーブがあったりして課題が大幅にやさしくなったりします。
こういうムーブを探すのも楽しいですが…

ルートセッターについて

クライミングの課題を設定する資格をもった方がいます。
冒頭で紹介したルートセッターという人たちです。
資格にも種類があり、JMA規定のA~C級セッターや最上級の資格が国際ルートセッターなどです。
国際ルートセッターは現在日本に4人いらっしゃいます。

プロのルートセッターになるにはJMAで定められる規定に則る必要があります。
一部抜粋です。

A級競技ルートセッター資格の基準は,原則として全国大会規模の公認競技会のルートセットを4回以上行った経験があり,5.13a程度のルートをオンサイト若しくは5.13c程度のルートをレッドポイントできるものとする。
https://www.jma-sangaku.or.jp/games/document/25820150911routesetter_rule.pdf より

これはどういうことかというと、ルートセッターはクライマーとしても相当に優秀でなければならないということです。
5.13aとはグレードのことでボルダリングの段・級になおすと二段に相当します。5.13cは三段です。
二段をオンサイトできるクライマーなんてめったに出会えるものではありませんね。
※ルートクライミングのデシマルグレードとボルダリングの段・級グレードは直接比較できないので、あくまで目安です。

機会があったらお店の人に「ここの課題のルートセッターはどなたですか?」と聞いてみるのもいいでしょう。
常連さんやオーナーさんが作った課題もおもしろいですが、やっぱりプロの方が作った課題の方が難易度にばらつきが少なく、自分の実力を正確に知ることができると思いますよ!

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